砂上の楼閣
それは砂上の楼閣だ、騙されるな。
見かけは立派かもしれないけど、軸がないから長く続かない。
すぐに消えてしまうものだよ。
そんなものにハマってはいけない。
だから、そんなこと信じちゃいけないんだよ。
周りはみんな止めろと言う。
悪いことは言わないから、君のためだから止めろと言う。
「覚悟があるなら進めばいい」と進み方を教えてくれたのは、過去に私と同じように砂上の楼閣を見た人だけだった。
なので私は相談するのをやめた。
自分を保つため、周りに相談するのをやめた。
砂上の楼閣が現れて、幻だとわかっていたけどその中に本当の何かがあるかもしれないと、信じて見たくなったのだ。
今度こそ、本物かもしれないのだ。
痛みを感じてでしか、自分の存在意義を確認できない人というのがいる、
この世の中には。
それはすごく辛いことなのだけど、そういう人たちは、
自分の価値を認める方法をそれしか知らないのだ。
何かに反発する、こころが。
変わろうとしている、なにかが。
変わるのが、こわいのだ。
確信の言葉が聞けないと、不安は募るばかりなのだ。
変わらずにいる意味を探し続けて、
そんな自分が嫌になるのだ。
どんなに自分は違うと言っても、同じにされたくないと思っても、
違わないのだ。
どうして自分たちの恋愛がわかるものか。
快楽と猜疑心と、肉体のぬくもりと苦痛のまざりあったこの5年間を。
フランソワーズ・サガン(ブラームスはお好き)